米津玄師の世界③かいじゅうずかんー2
1 狼人(ろうにん)
(裏面の解説)
「いつもぼーっとしており、ダラダラと毎日を過ごしている。たまにめちゃくちゃに踊り出す。」
こういう人いますよね。普段は全然仕事をしないか、あるいはできないが、新年会とか忘年会とか、運動会とか、カラオケ大会などのイベントが始まると狂ったように、歌ったり踊ったり、はしゃぐ人です。
2 プレイヤ
(裏面の解説)
「特定の宗教の敬虔な信者が、過酷な瞑想を続けた果てにかいじゅうとなった。その容姿は人間であったころの姿からはかけ離れているが、祈る手だけは以前の姿を保っている。土中や洞窟の中で祈り続けており、何百年と祈り続けている個体もいるが、一体いつまで祈り続けるのかは誰にもわからない」
一説によると、お釈迦さまは悟りを得るため、過酷な断食と瞑想を繰り返したが、なかなか悟れなかった。このイラストみたいに「骨と皮状態」になったあるとき、そばを通りかかったスジャータという女奴隷から一杯のミルクを恵んでもらう。その一杯のミルクを飲んで生気を得たお釈迦様は、悟りを得ることができたという。悟りの後、お釈迦様は、貧困や身分制度を改善するため、具体的な社会運動に身を投じていった。
最近、とんでもないオカルト宗教家がいたが、かれは悟りによって空中を浮遊できるなどという舞台マジックさながらの曲芸を演じて見せた。彼の信者には、一流大学卒業のインテリが多かった。まあ頭のいい人ほど、観念的な宗教や哲学にはまりやすいのかも知れない。もっとも、オカルト宗教は悟りではなく、ほとんど洗脳だが。
わたしは、宗教を否定するほど強い心は持ち合わせていない。
祈ること、祈り続けること、祈り続けられることは、素晴らしいことだと思う。
3 ビックリベッド
(裏面解説)
「夜な夜な民家に忍び込み、その家の子どもを外にひきずり出し、ベッドにもぐり込んで親を驚かせようとする。体長1mほど。ちゃんと驚いてもらえると満足して帰るが、驚いてもらえなかった時はその家に居座り、驚くまでずっとなにかしらのイタズラを仕込んでくる。わりと無邪気なので、お菓子などを与えられるとイタズラそっちのけで喜ぶ。」
子供の代わりにこんなかいじゅうがベッドから現れたら、ビックリするだろう。
わたしの少年時代にも、ずいぶんやんちゃないじめっ子がいて、その子によく苛められた。実は、かれの弟は非常に可愛くて、お母さんはその弟を溺愛していた。
特定の子どもに母親の愛情が注がれると、愛情を受けない子供は拗ねてしまい、いじめっ子やいたずらっ子に変わる。親の関心を引くため、いたずらばっかりする寂しがりやの子どもは結構いる。ビックリベッドはかれらの身代わりである。
4 プライド
(裏面解説)
「ワニのような口を持っているかいじゅう。素顔を布で覆い他者に見せようとしないが、もしも素顔を他人にみられようものなら、プライドはその大きな口で相手を丸呑みしてしまう。自尊心が高く、自分なりの思想と規範を厳密に遵守している。」
江国香織さんの短編に、真実の亀を知りたくて、亀の甲羅を、刃物でザックザックと剥がすという残酷な一こまがあった。甲羅を剥ぎ取ったとき、亀は死んでしまったらしい。
本当は、愚かで、無知で、気が弱いのに、賢くて、博学で、気を強く見せたい人がいっぱいいる。でも、いつか、化けの皮がはがれる時が来る。もうその時はどうしようもなく恥ずかしいので、相手に噛みついて呑み込んでしまうかもしれない。
しかし、このかいじゅうにはもう一枚上手のやつがいる。それは自分自身にすら本当の姿を見せずに仮面を被ってしまうかいじゅうである。この場合、本人ですら真実の自分を知ることはない。こうなるともはや誰の手にも負えなくなる。
この他、楽しいかいじゅうが一杯描かれているので、興味のある方は、ぜひ、「かいじゅうずかん」を、ご購入ください。