バラ園に魅了される
1 バラ園に招待される
園芸少年(わたしの子供時代)の夢は、バラ園を造ることだった。広い庭一面にバラを咲かせること、園芸好きの人なら、だれもが夢見る光景であるが、都会のマンション住まいのわたしには、もはや不可能な夢である。
5月からは、バラのシーズンである。バラの寿命はわりと長いようだが、バラ園全体(個人のお庭)としての見どころは2週間くらいだと言われる。この美しいバラ園に、クライアントの御夫婦から、わたしを含めて3人招待していただいた。
2 立体的なガーデニング
正面玄関横側の壁一面には、つるばらが植えられている。このバラは、外側の花弁が白、芯の方がピンクで、なんとも上品で優雅な色合いである。玄関前には、背の高い淡い黄色のバラ、これもおしゃれである。
家の中に入るとリビングの窓からバラ園が一望できるのも、楽しい。
中庭の周りの木製フェンス一面を這うように、黄色、白、ピンク、赤と、色とりどりで見応えがある。
庭の中央には、花弁の巻き方が重厚でボリュームのある紅色の和バラが見事である。
1時間ほど談笑しながら、バラの手入れの説明を聴く。なかでもコガネムシ(カナブン)が花の花弁を食べるという悪さをするので、根気よくつまみ出さないと駄目ならしい。
美しさを維持するには、その裏で地道な努力があるというのは、万事に共通しているようである。
3 ランチに伊賀肉をご馳走になる
バラ園の鑑賞のあとは、ワンボックスカーに5人乗り込み、伊賀のすき焼きの老舗、金谷(かなや)に向かった。この店は店構えも古めかしく伝統を感じさせる。なんでも、創業100年ということである。
お店の二階に上がると、廊下の奥行きは100メートルと長く深く、大小さまざまの部屋がある。その一室に導かれ丸テーブルにつく。クライアントのお勧めで、お肉はあみ焼を注文する。「すき焼きよりうまいと言われる」ので、私たちもそれに従う。仲居さんが、分厚い伊賀肉を一枚一枚ていねいに焼いてくれる。お肉の焼き具合、たれの付け具合は、すべて仲居さん決める。肉の種類もサーロイン、フィレと豊富である。歯ごたえがあり、意外にあっさりしているので、いくらでも食べてしまいそうである。帰り際に、正面玄関の店先で、ハンバーグやお肉の佃煮を買ったが、なかなかお買い得だった。
視覚も味覚も一流に触れ、すっかり堪能してしまい、帰りの車中で、睡魔に襲われた。