「竹原ピストル・平成の琵琶法師」

竹原ピストルのライブに行ってきた。生命保険会社のCMソングで、誰もが耳にしているあの歌の作者だ。

♪「よ~ そこのわけぇ~の~、俺のいうことを聞いてくれ~」

はい、はい、なんですか、と聞いていると、

♪「俺を含め誰の言うこともきくなよ~」

ズドンと来た。

自分がない人が多い今の世の中を嘆いてるのか、妙に説得力のある語り口調である。

 

特に印象に残ったのは、「ライブイン和歌山」という歌。「俺、精神病なんです~」という若者の実話だ。テレビでもこの歌のエピソードを話されていた。

最初は冷静だが、どの曲も途中から慟哭へと変わるのが彼の特徴だ。

♪「薬漬けでも生きろ~~!!!薬漬けでも生きろ~~!!薬漬けでも生きろ~~!!」

え~?なんで~?!と不信感の私に、次のフレーズで理由を教えてくれる。

♪「どうせ人間なんて誰もがなんらか漬けで生きているんだ。大差ないさ」

なるほど!確かにそうですね。妙に感心して、それ以来、竹原漬けで生きている私でございます(笑) 冗談です。

竹原のライブの迫力は、私のつたない筆力では表現しきれない。観客は、ほぼ若い男性だ。彼曰く「女子率の低いライブ」だそうだ(笑)。

娘の付き添いなので、始まる前は体力的に30分持てばいいかなと思っていた。あとは適当に後ろで座って待っているつもりだった。ところが、気が付けば、2時間経っていた。

聞いたことがない歌もたくさんあった。とても早口で聞き取れるはずがない歌詞でも、退屈するどころか、その歌詞が、ガンガン耳に飛び込んでくる。また、歌いすぎでハスキーになってしまった声も何とも言えず心地よい。立ち見で前の男性の背中しか見えなかったが、皆が乗ってきて揺らぎだすと、その隙間から一瞬歌っている竹原が見えた。正直、ビジュアルには興味なく、見えなくてもいいと思っていたのだが、次回は早くから並んで最前列に行きたいと思ってしまった。広隆寺の弥勒菩薩のような優しい顔をしていた。

自分に自信がないと、人の意見に左右され、人生を振り回される。本当にその人のことを思って助言する人でさえ、その人の心のうちはわからないわけで、相談する人も自分に都合の悪い情報は開示しないままだから、その答えが正しいとは限らない。いや正しい答えなんてないかもしれない。ただ、自分で出した答えには、自分で責任を取らなければならない。

人生とは、自分で出した答えに責任を取っていくゲームなんだよ。と言っているかのようだ。

さながら「平成の琵琶法師」である。

文責 増井玲子

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