流行る店、流行らない店 ② パン屋さん
わたしは、大のパン好きである。わたしの知る限り、いつ行ってもいつ買ってもおいしいパン屋さんは少ない。パン屋さんはもちろんのこと、レストランや喫茶店で出されるパンもおいしい店は少ない。
だから、おいしいパンを置けば、必ず店は流行るはずだ。しかし、それができない。なぜだろう?
答えは簡単である。
流行らない店のオーナーは、「パンは何よりも足が早い生鮮食品である」という認識がないからだ。
認識があったとしても、材料をけちると、それは、パンの形はしていても、およそおいしいパンとはかけ離れたものとなる。
パンの旬、つまり食べ頃はいつかご存じだろうか?
意外にも、焼きたてではなく、それが常温になったその瞬間である。そしてその瞬間からパンの鮮度はどんどん落ちていく。本当においしいフランスパンは、常温到達後、2時間が許される範囲かもしれない。
流行る店では、売れ残ることはないので、パンを翌日に持ち越したり、半額で売るなどというばかなことはしない。万が一、売れ残った場合でも、パンは「生鮮食品」だから、さっさと捨てているはずだ。
売れないと、鮮度はすぐ落ちる。鮮度の落ちたパンを「おいしいパン」だと思って買っていったお客さんは、二度と戻って来ないだろう。リピーターがいなければパン屋は成り立たない。なぜなら、単価が安いからだ。パン屋は、たくさんの人に、たくさん買ってもらわなければ、成り立たない商売なのだ。
先日、開店したてのパン屋さんに120%の期待度をもって入った。かわいい店員が試食のパンを、大きな平皿に盛ってきたので、その一かけらを取ってみた。しかし、そのあまりの希薄な味に、いつもなら数個は買う私だが、たった一個買うのが精いっぱいだった(パン屋に入ってパンを1個買ったのは初めてのこと)。
いやしくも福島激戦区でパン屋を出すなら、もう少し研究するか腕を磨いてからにし欲しいと思う。
パンが自由に食べられることを売り物にしたレストランでも同じだ。売り物のパンがまずければ客は逃げてしまう。一度逃げた客はなかなか戻らない。お願いだからおいしいパンを出してくれと、言いたくなる。材料費を惜しまず(できるだけ良質の材料で)、かつ鮮度を落とさないこと。これは非常に厳しい条件だ。しかし、そこをクリアーできないなら、パン屋などやらないことだ。
以上、素人が偉そうに言ってすいません。(笑)