自分の国は自分で守る ② 自衛権の発動

1 誰も戦争は望んでいないが。

敗戦国である日本は、アメリカを中心とした連合国の刷り込みによって、戦争犯罪人に仕立て上げられた。
とくに、東京裁判により、東条英樹を始めとする陸軍のトップが、血祭りにあげられた。帝国陸軍に罪を押し付けることにより、敗戦の贖罪を行おうとした。
この結果、日本人の意識の中に「戦争を仕掛けたのは陸軍」(本当は海軍であるが)「戦争は悪いこと」の罪の意識が醸成され、日本人は戦争を忌み嫌うようになった。
いつしか、呪文のように「平和」「戦争放棄」を唱えていれば、救済されると錯覚した。
戦後の学識者や有名人もほとんどの人がこの範疇に入る。
確かに天皇を中心とした「神代の国」に対し、あるいは、帝国陸軍や海軍の行き過ぎた国民の生命軽視の政策に対し、日本国民は辟易し疲れ切っていた。
その日本国民の心に、平和憲法9条はとてもフィットしたといえる。

2 日本共産党も反対した戦争放棄

1946年の憲法改正審議で、日本共産党の野坂参三衆議院委員は「自衛戦争」と「侵略戦争」を分けた上で、「自衛権を放棄すれば民族の独立を危うくする」と憲法9条に反対し、共産党としても賛成しなかった。
革命を信条とする共産党にしては、極めて冷静な見解で、正直、わたしは驚いた。
やはり、かれらも日本人としての誇りは捨てていないのだ。
自衛権を放棄すれば、その国は間違いなく滅びる。いかに、戦争が嫌いで平和愛好者であっても、侵略されたら「戦わねばならない」のだ。
自衛隊はその前提で軍備を充実し、演習を怠らず、粛々と戦いに備えているわけだ。
2019年度の防衛関係費は5兆2574億円と積み上がり、5年連続最高値更新である。それでも、中国の1/3以下で、まともに戦えば、勝ち目はない。だから、アメリカとの同盟が有効なのである。トランプ大統領は日本にさらなる軍事費増大を掲げ実行を迫っている。
もちろん、アメリカは対日本貿易赤字を解消するためにも、自国の兵器を売りつけるだろう。

3 死文化した憲法9条

5兆円を超える軍事費は、人命救助のためではない。外国の侵略に備えるために必要な軍事費である。
同盟国のアメリカはそれでも少ないと言っている。
「国際紛争を解決するために一切の戦争は放棄し、陸海軍は保持しない」などと、絵空事である。
そんなことをいつまでも語っている日本人はおとぎ話の世界の住人である。
つまり、憲法9条はとっくに死文化している。「集団的自衛権」がなぜ先行するのか?
その前に、まず自国の自衛権を積極的に憲法上で認めること。話はそれからである。

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