世界は新型コロナウイルス一色

中国武漢から発生した新型コロナウイルスは一挙に世界中に広まった。とくにイタリアがひどい。3月29日現在で死者が1万人を超えた。

今朝の報道では、タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスを原因とする肺炎で亡くなられた。ウイルスの陽性判定が出たのが、3月23日だったから、それからわずか6日で亡くなられた。しかも、志村さんに持病はなかったらしいから、本当に恐ろしいウイルスである。

今回の災厄がもたらす経済的損失は今のところ誰も予想し測定することはできない。金融経済に与える影響は、おそらくリーマンショックの比でないだろう。

こんな時、国境がいかに大切か身に沁みてわかる。人間も経済も自由に行き来するグローバル化した現代社会ではこういう災厄を水際で止められない。とくにマネー漬けの企業、政治家、投資家に国境はない。今更日本も鎖国するわけにはいかないだろう。

この度、中国政府は的確な情報の開示を遅らせたため、ウイルスは一気に世界に拡散したと言える。とくに、中国では新節のお祝いシーズンで、中国人の海外渡航が集中する時期であった。もしその前の2020年1月中旬までに情報が開示されておれば、パンデミックは抑えられたかもしれない。

つまり、グローバル化のなかで世界の国が幸せになるために大切なことは、最低限のマナーやルールを守らなければいけないということだ。今回のような疫病については、当然に正確な情報を迅速に世界に伝える義務が中国政府にはあった。なんでも、中国国内でいち早く(2020年1月初旬頃)コロナウイルスの危険性について警鐘を鳴らしていた武漢在住の中国人医師に対して、中国公安はかれを逮捕しデマを流さないように訓戒したというから驚きだ。また、世界保健機構(WHO)事務局長のテドロスの「パンデミック宣言」も3月11日では遅きに失する。

すでにアメリカでは中国政府に対する集団訴訟が複数持ちあがっているようである。遺族をふいに亡くした家族や仕事を急に奪われた労働者、さらに被害を被ったあらゆる企業や事業主の怒りは、中国政府に向けられて当然であろう。

中国は自国がどのような大国で世界にどのような影響を与えるかにつて認識が不足している。現在世界第2位の経済大国である中国は、それに相応しい権威と品格を兼ね備えること、そしてなによりも、国際社会の重要な一員として社会的責任を負わなければならない。