「日本国紀」百田尚樹著を読む ① 日本史の見直し
1 人気作家の日本史見直し作業
「永遠の0(ゼロ)」で一躍人気作家となった、百田尚樹氏が、日本通史に挑戦した。「日本国紀」は短期間で50万部を突破したらしい。幻冬舎は、「売れる作家」「売れるタイトル」の本をタイミングよく出す。ときにスキャンダラスで、どぎついタイトルの本もあるが(笑)。
百田尚樹氏はとても日本を愛している。その愛国心の強さが、日本通史を着手させたと言えるだろう。いままで、小説家が、歴史書を手掛けたことはない。そして、小説家が書く歴史書ゆえに物語性を重視している。歴史を知るためには、もちろん、文献や史実も大事であるが、それらのエビデンスを人間の物語として、編集する想像力が必要なのである。権威ある歴史学者から見れば、多くの批判はあるだろうが、そんなことを意に介すような百田氏ではない。
2018年12月末には、「日本国紀」の副読本、学校が教えない日本史を有本香氏と共著で出されている。わたしも合わせて購入した。
2 日本の歴史教科書が面白くない理由
- 百田氏が指摘するまでもなく、日本の教科書に書かれた歴史は面白くない。そこでは年代や人名を覚えることが中心で、人間の物語はない。人の息遣いや喜怒哀楽はそこからは窺えず、なぜ、歴史がそう動いたのかの説明もない。
- それと、日本人を卑下する戦後の自虐史教育の影響で、教科書が意図的に改ざんされてしまった。日本では戦後、日の丸や君が代を侮蔑し拒否する風潮が形成された。学校の先生たちが「日教組」なる組織を作り、一丸となって、日本の青少年に対して、自虐史観を植え付けた。教科書製作にかかわる人もほとんどがそのような人々であったため、みじめで面白くない歴史教科書となった。
- そればかりではない。この自虐史は第二次世界大戦にいたる一時期の流れだけではなく、古代から明治にいたるまで、日本が一度も海外との戦争に負けたことのない長い歴史にまで、及んでいる。これは「ふざけている」と言うしかない。
- 百田氏は言う。アメリカの歴史の教科書を読めば、アメリカの子供たちは、誰でも、アメリカを好きになると。同じように、日本の歴史もそれを読めば日本が好きになるような物語でなければならないと。
以上のような観点から、百田氏は日本史の見直しを図っている。次回からは、「日本国紀」のなかから、非常に面白いと思われるところを、何個所かピックアップしたいと思う。もちろん、わたしの日本史に対する熱い思いも込めて、教科書はズタズタにするつもりである。